現代に大切なことはなにか。
科学はこれまで長足の進歩を遂げて、私たちの生活はかつてないほどに便利になりました。
洗濯はボタン一つで洗浄、乾燥までしてくれる。
部屋の中では夏は涼しく、冬は暖かい。
小学生でも携帯電話を持ち、いつの時間、どの場所でも知らない人ともコミュニケーションをとることができる。
スマートフォンは次々新作が誕生し、身のまわりには新しいものにあふれている。
「昔はお医者さんを呼ばなければならなくなったとき、家から200m先の公衆電話まで走りに行ったものよ」と祖母から聞きました。今日ではボタンを3回押すだけで救急車を呼ぶことができます。
そんな時代と比べると、私たちの生活水準は各段に向上したと言えますね。
ですが、それで人は幸せになれたのでしょうか。
みんな日々忙しく、仕事に追い回されています。「忙」という字は「こころを亡くす」と書きます。忙しさに翻弄され、立ち止まって自身を振り返る時間がすくないのが現代人の特徴ではないでしょうか。
たしかに便利な暮らしは実現しました。ですが、生活が物質的に豊かになったのに対して、私たちひとりひとりの心も豊かになったのでしょうか。そもそも、幸せってそんなに簡単になれるものなんでしょうか。
もっとお金が手に入れば
もっと地位や名誉が手に入れば
素敵な彼女・彼氏ができたら
自由に旅行できたら
幸せと聞いて思いつくことは、たくさんあるでしょう。
好きなことができたら、そして身のまわりが好きなモノで囲まれたら、私たちは本当に満足できるのでしょうか。
私が大阪大学大学院を卒業した時、総長の式辞の中でこんな一説がありました。
「2016年4月14日に熊本で大きな地震が起きました。まだ記憶に新しいところですが、建物や施設への大きな被害とともに、多くの死傷者を出しました。その中には、皆さんと同じ大学生の方もおられました。夢を持って大学に入学し、友人たちと出会い、これから人生を歩んでいこうという矢先にすべてを断ち切られてしまったことに、私はひとりの教育者として胸が詰まる思いがします。
今日、学部を卒業される方の中にも、阪神・淡路大震災が起きた1995年に生まれた方もおられると思いますが、その時、大阪大学および大阪大学関係者の方々もかつてないほどの被災をしました。私たちは自然災害や事故が起こったとき、それが特に身のまわりや、近しい人の中で起こったときに、幸せとは何か、豊かさとは何か、いのちとは何かといった、普段の日常では思いを馳せないことを、改めて突きつけられ、考えさせられます。
今の文明は、私たちが、便利なもの、より良いものを追求することで発展を遂げてきました。しかし、物質的な豊かさだけを追い求めていては、真の幸せを見失ってしまうような気がします。人間の幸せとは、経済の成長や科学技術の発展のなかで、単に物を所有することではなく、その発展を活用しながら、命あるもの、愛を大切にすること、つまり精神的な豊かさがもたらすものだと、私は考えています。社会の発展が幸福を損なうものであってはならない、発展とは人間の幸せに寄与するものでなくてはならない、と私はそう強く思っています。」(大阪大学卒業式・大学院学位記授与式 総長式辞)
今の私たち一人一人に求められるのは、物質的な豊かさだけを求めることでなく、その「幸せの材料」を活かす「腕」を磨くことではないでしょうか。粗末な材料でも料理人の腕がよければ美味しい料理が出来上がります。一流食材を使っていても活かす術がないと美味しい料理は作れません、それと同じです。
中国に抜かれたとは言え、日本のGDP(国内総生産)は2016年度世界第3位!多くの人が経済的な豊かさを手に入れました。しかし、日本の自殺者はいまだに毎年3万人弱もいるのです。
最近、小学生など若い人の自殺がニュースでも深刻な問題として取り上げられています。ですが、自殺者で一番多い年齢層のは中年層なのです(下図)。理由は種々あるとは思いますが、働き盛りで何の不自由もなさそうなサラリーマンもその中に含まれているのです。
フランスの社会学者デュルケムは、富豪ほど自殺率が高いことなどから、経済的に豊かな人ほど深刻な苦悩を抱いている、と語っています。思い描いていた幸せが、いざ手にすると想像と違い、愕然とすることがあるのです。今、あたりまえと思っている幸せは、本当に自分の求めている幸せなのでしょうか。
私もいろんな偉人・先哲の深い言葉から大事なことを考えさせられ、大切なことを知りました。だって、考えてみてください。
自分の言ったこと、書いたことが100年、200年後に残っているでしょうか。そしてそれを読んだ人のこころに訴えかけていることを想像できるでしょうか。今でも残っている過去の人の言葉には、何か私たちひとりひとりにとって大切なものを気づかされることが多いのです。
共感する人がひとりでもいれば、と思いブログにて私の心に深く残っている偉人の言葉を紹介していくことにしました。興味のある方は是非お立ち寄りいただけたらと思います。
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